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兄の惑星

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兄の戯言

極私的北京五輪 男子ケイリン編

 自転車男子ケイリンで永井清史が銅メダルを獲得。

 自転車競技では84年ロサンゼルスで坂本勉が銅、96年アトランタで十文字貴信が銅、04年アテネで長塚智広・井上昌己・伏見俊昭が銀を獲っているが、坂本はスプリント、十文字は1000mタイムトライアル、長塚・井上・伏見はチームスプリントでケイリンでは初のメダルとなった。ちなみに『世界の」中野浩一の世界自転車選手権の10連覇はスプリントでのもので、世界選手権のケイリンでもウイーン大会での本田晴美が唯一の優勝者である。

 今回期待されていたのはアテネ銀メダリスト伏見俊昭の方だった。07年12月のKEIRINグランプリで優勝し2度目の賞金王に輝き、08年3月マンチェスターでの世界自転車選手権5位と国内外の実績は申し分なく、本人もアテネ1回戦敗者復活戦敗退のリベンジを果たすべく今年に入ってからはよりケイリンの方に重きをおいてきた。しかし多くの競輪賞金王を尽くはね返してきたケイリンの前に伏見はまたしても1回戦敗者復活戦で散ってしまった。

 競輪とは異なる技術・戦術を要し、競輪では許される体当たりや牽制も反則になりやすく、実力を出し切れないまま敗れている。今回も敗者復活で伏見が敗れ意気消沈したところに永井という救世主が現れた。永井も1回戦で敗れていたが敗者復活を1着で勝ち上がると、3人が決勝に進める準決勝では途中で2台が転倒し4人で再スタートとなり2着に入る幸運も味方した。決勝では残り2周最後方から捲くって先頭に立ちクリス・ホイ(イギリス)に交わされても離れず追走、最終コーナー手前でホイに突き放され、直線でエドガー(イギリス)にも交わされるがそこから渋太く粘り3位を守り切り日本競輪界悲願のケイリンでのメダルを獲得した。

 伏見同様永井もまたアテネのリベンジをかけ4年間を過ごしてきた。04年3月ワールドカップで長塚・伏見とともにチームスプリントに出場し優勝するも5月世界自転車選手権での予選7位の結果に順位決定戦では井上と交代させられ、五輪出場を断たれてしまう。長塚・井上・伏見がメダルを獲得したことで永井の五輪に対する思いはより一層強いものとなった。その思いが心身ともに永井を強くして、最後の粘りに繋がったように思う。
by sasancho | 2008-08-16 23:00 | 北京五輪

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